ニュートリノの質量の謎を解明するもう1つの説は、さらにもう1つある謎をも解き明かすことができるものです。
宇宙には、なぜこれほどまでに多くの物質があるのか?という問題です。
ご存じのとおり、物質には、反物質という双子のような対の存在があります。反物質の素粒子は、物質のそれとそっくりですが、ただ持っている電荷が反対です。物質には負の電荷を持つ電子があり、反物質には正の電荷をもつ以外は電子とそっくりな、陽電子があります。
物質の素粒子が、相対する反物質の素粒子と衝突すると、双方が爆発し消滅します。ここで問題となるのは、物質と反物質は、衝突をしない限りは多くの場合、同じ動きをするため、粒子加速装置で物質の素粒子を生成する実験を行う場合、反物質の素粒子も生成されます。反物質は、物質と同様に原子を生成することすらできます。
物理の法則はえこひいきはしませんが、この地球上と同様に、宇宙には物質しか存在しません。反物質の星、銀河、星雲などは無いのです。仮に存在したとしても、相対する物質と衝突し、閃光を放って互いに消滅することがあるはずです。しかし、こういった閃光は目撃されたことはありません。
では、なぜ宇宙は等量の物質と反物質をもって誕生し、それらが互いに消滅し合って何も残らない事態に陥らなかったのでしょうか。